HA23Vターボ 2号機製作


某オークションで35000円で購入。

総走行距離36000kmという極上のAT車。

アルトバン1号機がルーフとかダッシュボードとか、車検を取得するには色々難しい車になってきたので2号機に箱替えします。

車検を取れる範囲内で1号機以上の軽量ボディを作るのはかなりの困難が予想されますが、2号機が1号機より遅い事は許されないので頑張って製作します。


何はともあれ、不要な物(?)の撤去作業から。

リアシート、アンダーコート、エアコン一式等、車検取得には影響しない物をどんどん削除します。

内張りに関しては場所によって必要な物もあるので、ある程度捨てずに取っておきます。


リアシート下にはリアシートを固定する為だけのパネルがあるので、これもスポット溶接を剥がして撤去します。

他にもスペアタイヤを固定するパネル、車載ジャッキを固定するパネルもスポットを剥がして取り外します。

これら3点で1.2kgにもなるのでばかになりません。

因みにこれらのパネルは1号機でも取り外してありました。


どんな車でもダッシュボードを取り外すと、ごちゃごちゃステーがくっ付いた鉄製のパイプが付いています。

ダッシュボードを固定するだけでなく、ステアリングシャフトを固定する重要な部品ですが、これがそこそこ重いです。

そこでこのパイプをアルミで作り直してしまう事にします。

60Φ3mm厚のアルミパイプ、5mm厚のアルミ板を用意して切り出しました。

重量比較するとキッチリ1/2。

思ったより軽くなりますね。

これは1号機では行っていなかった部分なので屋根を切断してFRP化出来ない2号機ではアドバンテージになります。

というかこれだけで1号機の屋根分の軽量化(鉄→FRP)と同等になりました。


用意したアルミパーツを室内で何度か仮組みし、半自動溶接機でアルミ溶接をして組み立てました。

後で微調整が出来るようにステアリングに近い方の穴だけ長穴加工し、ノーマルには付いていない「チルト機構」を装備しています。


通常運転席横に付いていて、長いワイヤーでリアフェンダー裏まで伸びている「フューエルリッドオープナー」のワイヤーを短く加工し、リアゲートを開けたところに移動しました。

微小ですが軽量化にもなるし、ドンガラの室内にダラーっと這うワイヤーを無くしてスッキリさせる事が狙いです。


不要になるNAエンジン&ATはさっさと降ろしてしまいます。

いつものように(?)コアサポートは切断しました。


いきなりですが、今回タービンも交換します。

今まで付いていたGT100SPLタービンからK6Aでは定番の「HT-07Aタービン」に変更。

タービンそのものはリビルト品で55000円位。


コンプレッサーハウジングも大きくなりますが、タービンホイールがかなり大きくなります。

A/R12なので、今までよりかなり高速タイプになります。

今までが100PS+αだったのが130ps位までパワーアップ予定。


エンジンを積んである状態の方が交換がラクそうだったので、ターボエンジンを降ろす前にサクっとタービンを交換しておきます。

元のタービンを外したらエキマニ側とアウトレット側のガスネットがメタル製にもかかわらずバラバラになりました・・・。

K6Aはこうなるのが普通なのか、購入したタービンにガスケット類は全て付属していたので特に問題はありませんでしたが。


タービン交換後、1号機のエンジンを降ろします。

もうこのアルトのエンジンは何回も脱着して慣れてしまったので、1時間と掛からずにエンジン取り外し完了。


今度の車体に必要なクラッチペダル&ワイヤー、ブレーキペダル、シフトレバー一式を取り外しておきます。

配線も全て入れ替えるので片っ端から取り外します。


必要な物を全て取り終わったら、先に2号機から外してあった配線とATシフトレバー&ワイヤーを移植し、速攻でNAエンジンを搭載します。

同時に足周りのパーツも移植してあります。

とりあえず1号機は超軽量車体にNA&AT、ノーマルサスで動くようになりました。

せっかくだからこれで軽耐久に出ようかな(笑)


自作ダッシュボードでは車検を通す事が出来ないのでノーマルのダッシュボードを使うわけですが、今まで付けていたタコメーター、ブースト計、排気温度計も移植しなくてはいけないのでメーターマウントを製作します。

アルミ複合板にメーター径の穴をあけ、その穴にピッタリ合うように加工した塩ビの雨樋にアルミテープを巻いて差込み、裏側にホットボンドを塗って固定。


メス型は作らないので、表から#450マットを小さく千切りながら3プライ位貼って固めます。


固まったらアルミ複合板と雨樋を剥がし、周囲を切り揃えて仕上げます。

表面を少し削り込んでからパテを塗って成型。

サフェーサーを塗っておきます。


メーターを差し込んで仕上がり具合を確認。

メーターマウントには傾斜を付けてあり、運転席から見易いようにしてあります。


メーターはエアコンを撤去して不要になったセンターの吹き出し口位置に取り付けます。

取り付けにはネジは使わず、裏側からエポキシ接着剤で完全に固定しました。

メーターの下側にはブーストコントローラー用のマウントをアルミ板で作り、同じように接着してあります。

左下にある工具は「ハンドニブラー」という工具で、このブーストコントローラー用マウントの四角い穴のような加工をする際に使います。

加工出来るのはアルミや鉄の薄板で厚みは概ね1mm程度まで。

使う作業もピンポイント的で使用する機会は少ないですが、価格が安いので持っていると便利です。

同じ仕組みの圧縮エアで駆動する「エア-ニブラー」という工具もあります。

こちらも持っていますが、うるさい上に切粉の跳び具合がひどいのでほとんど使っていません。


車体側の加工をします。

タイヤハウス上部、ストロークするとタイヤが接触する部分にマーキング。

エアクリーナーの吸入口位置にもマーキング。


フロントタイヤ前側の意味不明なパネルもライトの取り付けに必要な分を残して切除します。


バッテリートレイを固定するブラケットも半分に切除。

これは軽量化というよりエンジン脱着時に毎回少々邪魔になりストレスなので切ります(笑)


クラッチワイヤーを通す穴(左上)と固定用ボルト穴(下左右)を新規にあけておきます。

穴位置は1号機から採寸して正確にあけます。

真ん中のシフトケーブルの穴はATシフトケーブルと全く同じ大きさ、位置だったのでそのまま。


タイヤハウス上部はマーキングに合わせて切り取った後、切り口をペンチで外側に少しずつ折り曲げます。


折り曲げた部分を更に当て板とハンマーを使って直角に折り曲げて均し、フェンダーの耳のように加工しておきます。


エンジンが下りているので、折角だからエンジンルームを塗装する事にします。

そこで、どうせ塗装するなら出来るだけエンジンルームをスッキリさせたいので、通常は左ストラット上部付近に固定されているECUとリレーボックスを室内に移動する事にします。

そうすると配線を通す穴が不要になるのでここを塞いでおきます。

いつもだとアルミ板かカーボン板を接着して終わりなんですが、今回はよりスッキリと仕上げる為に鉄板をツライチに溶接して塞ぐ方法を取ります。

「シェイプドベイ」とまではいきませんがスッキリ仕上がるはずです。

穴の大きさに合わせて1mm厚の鉄板を完全にピッタリになるように切り出します。


鉄板をツライチよりほんのちょっとだけ沈む程度に固定し、半自動溶接機で溶接。

鉄板、ボディー共に薄いので、ビーっと溶接せず、時間をおきながら点付けを繰り返し、全周を溶接します。


溶接ビードをベルトサンダーで平らに削り落とし、少し広めにサンダーを掛けて鉄板を剥いておきます。

パテで仕上げるので出っ張りが無いようにします。

穴が2箇所ありますが、片方はECUとリレーボックスに繋がる配線用で、もう片方はヘッドライトやウォッシャー、ラジエターファン等の電装配線用です。

ライト類の配線もなるべく見えないようにフェンダー内を通す予定です。

こちらも本格的な「ワイヤータック」とまではいかないと思いますが、今までよりだいぶスッキリするんじゃないでしょうか。


ほとんど平らに近い感じだったのでポリパテ1回塗りで仕上がりそうです。


切断したコアサポートはボルトで取り付けられるように加工します。

1号機ではアルミ板をリベット留めし、ナッターを打った簡易仕様でしたが、今回は鉄板にナットを溶接しボディーにスポット溶接しました。


軽量化という意味合いでは微小ですが、補強を兼ねてところどころに「バーリング加工」を施します。

アルトの板厚程度だとインパクトドライバーでボルトを締め込むだけで簡単に施工出来ます。


足周りの部品やステアリングラック等も取り外し、塗装の準備で足付けします。

パテ埋めしたところはサフェーサーで既に仕上げてあります。


塗る前までは緑一色(シグナルグリーン)で塗る予定だったのですが、塗る直前になって急遽フェンダー内とフロントガラス下、第一メンバーを黒に塗り分ける事にしました。

これらの部分はあまり目立たない方がいいかなと。

マスキングは面倒でしたが、仕上がりは中々良い感じに仕上がりました。

というかちょっとやり過ぎたかな?

以降の製作作業で手を抜きにくくなったような気が(笑)


メーターマウントとフードは反射を防止する為、艶消し黒で仕上げました。


こうなりゃとことんきれいに仕上げようってコトで、下廻りにも全面錆止め塗装を施しました。


室内の塗装前に1号車と同じように軽量加工しますが、今回は全ての穴にバーリング加工を行いました。

その分あけられる穴の数が少なくなってしまい、軽量化としては微妙ですかね。


室内はマスキングが大変だし溶剤系は臭いもすごいので、水性塗料を刷毛&ローラーで塗りました。

艶消し黒だとそれほど刷毛目とかローラー跡は気になりません。


塗装系作業が完了したので早速エンジン搭載。

エンジン搭載前に室内のペダル類やワイヤー、マスターバック、マスターシリンダーは取り付けてあります。

もう何度目かになりますが、ガレージの電動ウインチでの載せ降ろしはホントにラクです。


エンジンルームに付いていたECUとヒューズボックスは元々あるエアコン配管の穴から室内に引き込みます。

ヒューズボックスは蓋を外し、リレーを全部引っこ抜くとギリギリこの穴から室内に入れる事が出来ます。


ヒューズボックスとECUは左タイヤハウス裏側に取り付け。

ヒューズボックスは元から付いていたブラケットを車体に固定し、ECUはボディにナッターを打って直接取り付けました。


元々パーツ取りのKeiに付いていた燃料ポンプはトータルで15万キロくらい使用していたので、燃料タンク取り付け前に燃料ポンプを強化品に交換します。

ポンプは「SARD製 130L/h」

取り付けはポンプ付属のカプラーに交換するだけでほぼボルトオンです。

本当はハーネスも太いので引き直した方が良いのでしょうけど、今回はそのまま純正配線を使用。


室内をどんどん組み立てます。

ノーマルのダッシュボードは下半分をカットしてあります。


少しでも軽くなるよう、穴あけ加工をそこら中に施してあります。

このスピーカー用みたいな穴には2時間位掛かってます。

減ったのは数十グラムですけど(笑)

他にも見えないところを徹底的に穴をあけたり切断したり、場所によっては削り込んで薄くしたりして限界まで軽量化しています。


不要になった吹き出し口はさすがに見た目が良くないので極薄のカーボン板で塞ぎました。


サーキット専用なら必要のないウォッシャーですが、車検を取る際には必要になるので、超小型のボトル(200cc)にポンプを付けて使用可能にしてあります。

これはシルビアでも同じような物を作って付けてあります。


ライト類の配線はAピラー下の方にホールソーで穴をあけてフェンダー内に通しました。


今までバッテリートレイに付けていたオイルキャッチタンクはステーを新たに製作して移動。

大気開放していたブローバイホースもエアクリーナー直後に戻すように変更。


バイク用の小型バッテリーに合わせ、バッテリートレイもアルミ板で新規に作製。

軽め穴とバーリング加工を施して軽量化しています。


なんとか無事に車検が取得出来たのでサーキット走行仕様にサスペンションやアーム、アクスルをごっそり入れ替えました。

マフラーは1号機の時に取り回しがちょっと悪く、全開走行時にリアがストロークした際にアクスルと少し干渉してしまっていたので後ろ半分を作り直しました。

25°の曲げパイプを2本用意して少し上側に逃がすように配管しました。

触媒から中間サイレンサーまでは50.8Φ、サイレンサーから後ろは60.5Φです。


折角なのでリアのサイレンサーも交換します。

内径は60.5Φですが出口に向かってメガホン状に広がっているものでバイク用です。

テールエンドがドルフィン形状で大口径なのがお気に入りです。


マフラー出口の高さに合わせてバンパー下部をカット、風抜き穴もあけてあります。

加工ついでに塗装も済ませておきます。


カーボンボンネットに1号機で使用していたインレット&アウトレットダクトを移植。

フロントフェンダーも1号機の物を塗装して取り付け。

フロントバンパーは現車に付いていた物を加工、塗装して取り付けてました。


ドアは塗装前に軽量化の穴あけ加工。

穴あけによる軽量化はドア1枚あたり450g。

サイドインパクトバーも取り外し、こちらは1本1.8kg。

合わせて4.5kg軽くする事が出来ました。

作業時間は3時間ほど。


今まで使っていたバケットシートがかなり傷んでいたのでこの機会に新調。

やや小ぶりでタイトな物を選択したので1kg程軽量化出来ました。


前出で取り換えてあったHT07Aタービンが2号機シェイクダウン走行1回で白煙を吹いてしまい、元々保証無しのリビルト品だったので当然修理もしてもらえず、仕方が無いのでタービンを新規に購入。

怪しいリビルト品とか中古タービンでトラブルが出るのはイヤだったので、2年間1.5kのブーストを掛け続けてノントラブルだったGT100SPL(山本自動車製)の上位モデルであるGT120SPL(A/R12)タービンを購入しました。

3つのタービンを並べて比較してみましたが、コンプレッサーハウジングはHT07が一番デカいです。

GT100とGT120は同じ大きさに見えます。(吸入口はややGT120の方が大きいようです)

エキゾーストハウジング及びタービンホイールはHT07とGT120がほぼ同じ大きさに見えます。

コンプレッサーハウジングの大きさから一番パワーが出そうなのはHT07ですがどうなんでしょう?


パワーアップ(予定)に伴い、冷却系も強化します。

エンジンドナーのKeiからそのまま移植して使っていたお疲れ気味のラジエターをオールアルミの2層ラジエターに交換します。

ただ、こちらもちょっとトラブルがあり、届いたラジエターを取付後いきなり水漏れ・・・。

取り外して加圧テストをしたところ、溶接の巣穴と思われる部分から漏れていることが判明。

こちらは保証付きだったので当然代替え品に交換してもらいました。

※先のタービンだけなく、当方は過去にアフターパーツに於いて同じような経験を何度もしていますが、アフターパーツというのはとかくこういったトラブルがつきものなので、取り付け直後は特に注意しましょう。
これは会社の大小は関係なく、大手のチューニングパーツメーカーのパーツでも起こると考えていた方が間違いないです。

事実、昔オイルクーラーのエレメントブロックの加工不良でオイル漏れが発生し、原因を突き止めるのに非常に苦労したことがありますが、この製品は国内最大手のパーツメーカーの製品でした。
車を改造をしていく上で社外パーツは欠かせませんが、精度や耐久性、信頼性等は純正品とは比べ物にならない事は心しておきましょう。


ヒーローしのいでのシェイクダウンで破損してしまったアンダーパネルを作り直しました。

アルミ複合板にL字ステーだけで付けていたのを、アルミのチャンネル材でしっかり骨組みを作って取り付ける方式に変更。

アルミフレームは車体の牽引フック部にM10ボルトで固定し、併せて吊りステーも車体フレーム先端から取るようにして万全を期しました。

アルミフレームと吊りステーは軽め穴をあけて軽量化しています。


リア側にはディフューザーも装備します。

材料はもちろんアルミ複合板で、アルミのL字材とリベットで組み立てています。

目立つように(?)車両後方に10cm位はみ出る大きさにしました。


リアウイングは随分前から家にあった汎用のアルミ製ダブルウイングを加工して取り付け。

そのままアルトに付けるには幅が広すぎ(1450mm)だったので丸鋸に金属切断用の刃を付けて幅1100mmに切断。


ウイングステーもウイング付属の物は全く使えないので、ウイング側は3mm厚のアルミチャンネル材を加工、車体側ステーは3mm厚のアルミ板を切断、曲げ、穴あけ加工をして製作。

リアハッチへの固定はナッターでは不安があったので「ジャックナット」というナットを埋め込んで固定しました。

仕組みはナッターと同じような物ですが、取付強度は段違いで、色々なメーカーの純正スポイラーの固定にも使われています。

ナッターより打ち込み部に深さと広さが少し余分に必要になるので、あまり狭い空間に打ち込む事が出来ないのが難点ではありますが。