MR-S用カーボンアンダーパネル製作


巨大なリアウイングで見た目のバランスが悪いのでフロントもアンダーパネルを付けます。

今回はメス型を作らずにワンオフで製作します。

まずは型取りから。

5mm厚の「スチレンボード」(硬めの発泡スチロールの板)を車体に当てて適当にカット。

めちゃくちゃ軽いので養生テープでぶら下げておいてバランスを確認。

基準になる固定用の穴位置も何カ所か決めておきます。


車体から取り外して細部を仕上げます。

真っ平らでも良かったんですが、見てわかる通り、一応色々と小細工をしてみました。

中央付近のL字の溝は補強用のリブになるかな〜?と思って切ってみましたが
出来上がってみないと効果は分かりません(笑)

ちなみにこのスチレンボードは「芯材」としてこのままFRPでサンドイッチして使用します。

ボードの切断面はサンドペーパーで少し削って角を取ってあります。


確定している取り付け位置には金属製のワッシャーをスチレンボードと同じ厚みになるように2枚重ねて入れておきます。

これは芯材が柔らかいので、ボルトで締めた際に潰れてしまわないようにする為です。


スチレンボードは普通のポリエステル樹脂では溶けてしまうので、今回はアルトバンの「FRPルーフ製作」時に使用して残っていた「エポキシ樹脂」を使用します。

せっかくエポキシ樹脂を使うならと、「カーボンクロス」もロールで購入してしまいました。

特価で販売されていたB品のカーボンクロスですが、それでも10mで3万円超えです(驚)

(ちなみにガラスクロスだと同じ長さで6千円程度)



カーボンクロスは切断するとすぐにパラパラ解れてくるので、切断ラインにマスキングテープを貼ってその中央を切ります。



エポキシ樹脂は前回のFRPルーフで経験済みでその時は特にトラブルも起きませんでしたが、気温も低くなってきたし、高価な繊維と樹脂で失敗したら目も当てられないので、販売元に問い合わせてみました。

電話での問い合わせでしたがとても親切に対応して頂きました。

色々と質問させていただきましたが、その話の中で樹脂の攪拌についてはとにかく良く混ぜて欲しいとの事。

普通はミキシングバー(攪拌棒)で手で混ぜると思いますが、電動ドリルに付けて使うミキサーを使用して混ぜる方が良いそうです。(粘度が高い樹脂なのでラクだという事もあります)

混ぜる時間については電動ミキサーで攪拌開始から4分位攪拌して下さいとの事です。

やってみるとこれは結構長く感じますが、ここまでやれば硬化不良はまず起こらないそうで、攪拌不足による硬化不良のケースはけっこうあるようです。

硬化剤についてもポリエステル樹脂の場合は硬化剤はとにかく入ってさえいれば必ず固まりますが、エポキシ樹脂の場合は指定されている混合比を絶対に守る事が基本です。


この日の外気温は17℃、ガレージ内は20℃、湿度42%。

この樹脂の基準の硬化温度が25℃なのでストーブを焚いて常時24〜6℃になるようにして作業しました。

この樹脂は粘度が高いのでローラーは使わず、硬めの刷毛とゴムベラのみで行いました。

含浸作業もほぼ終わりの頃ですが、型の端っこ、ボードの段差の部分がどうしても浮いてきてしまうので、急遽ガレージ内にあった廃材(アルミアングル、塩ビアングル)で上から押さえて作業台にビス留めしました。


上面硬化後に持ち上げてみて捻ってみたところ、もうちょっとだけ剛性が欲しかったので、
スチレンボード10mm厚を追加で貼り付けました。

カーボンクロスを貼り増してもいいんでしょうけど何せ材料代が・・・(笑)

それとおそらくカーボンクロスを張り増すより重量増は少ないかと。

同じ大きさ、形状に切ったスチレンボードは木工用ボンドで接着します。


下面もカーボンクロスを1プライ+全周に4cm程度の帯状に積層してあります。

外気温が12〜3℃と低かったので、ガレージ内はストーブを焚いて27℃位に上げ、塗布前のエポキシ樹脂を40℃程度まで、とある装置の中で温めて粘度を落として塗布。


同時にカーボンクロス3プライのL字アングルと平板も製作。

これはアンダーパネルの装飾用パーツになります。


24時間以上放置して硬化させて周囲をざっくり切り揃えました。

オーバーレイ(外貼り)で作っているので繊維目が浮いてザラザラしているのであまり見た目は良くありませんが、表裏共にカーボンクロス1プライしか貼っていないのに、想像していたよりかなり剛性があります。

さすがに両端を固定して真ん中に人が載ったら折れるかもしれませんが(笑)

あくまで感覚的な話ですが、ポリエステル樹脂+ガラスクロスで同じ強度を出そうと思ったら3〜4倍の積層枚数が必要になりそうな気がします。

樹脂が丈夫なのか繊維が丈夫なのかわかりませんが、どちらにせよ、さすがは高価な材料といったところでしょうか。


芯材が入っているのでトータル厚みは17mmになっていますが、

重量はこの状態で3.2kg

これは全く同じ大きさの3mm厚アルミ複合板より300g位軽い計算です。

まだエポキシ樹脂とカーボンクロスに慣れていないので樹脂はやや多い状態で仕上がってしまったので、もうちょい上手くなればラクに3kgを切る重さで作れると思います。


平板はアルミ複合板の上に積層して作ったもので、ご覧の通りツルピカに仕上がりました。

(実は裏側はこんなにきれいには出来ませんでしたが(笑)

3プライですがこれも#200ガラスクロス3プライとは比べ物にならないくらい頑丈です。


アングル材の方はアングルの間に挟んでクランプでギューッと挟んで樹脂を搾り出して作ったせいか上記の平板より厚みが薄く、表面の艶が全くない仕上がりになってしまいました。

本来はこの位樹脂を搾って作った方が「強度的」には優れているんでしょうけど薄い分「剛性」が無い感じです。


合わせ目のフチにウレタンモールを接着し、車体からはみ出して「見える所」だけカーボンシールを貼りました。

これは本来、浮き出た表面の繊維目を何度か樹脂を塗って埋めて研いでいけばきれいなカーボン模様になるのですが、気温が低いので樹脂の硬化が遅く、面倒臭くなった為です。

本物のカーボンを使っているのにカーボンシールで仕上げるというなんという勿体なさ(笑)

次にやるときはもっと暖かい時期に作業する事にします。

さて、一応完成したので早速取り付けです。

下廻りの丈夫なボルト等に共締めしたりステーを作ったりしてガッチリ取り付け。

バンパーからの突き出し量は165mm。


先端部分もアルミパイプで作ったステーで吊り下げて、

カーボン風カーボンアンダーパネル(?)完成です!(笑)

効果のほどはいかに?近日中に早速TC2000でテストしてきます。
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