←これが初代自作エンジンフード 作ってから何度か手直ししたり、ダクトを追加したりしているのでそこそこ重量が増えてしまいました。 当時の技術では全くの平面板でしか作る事が出来なかった為、裏骨で補強してあったりして尚更重いです。 窓に関しても後付けビス止めなので見栄えが悪いですね(^^;) 実はこのエンジンフードがFRP工作第一号だったりします。 |
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あれから数年、工作技術も多少は進歩してきたはず(?)なので 軽量な新型を製作してみることにします。 先ずは寸法取り。 紙とかでも良いのですが、透かしてマジックでなぞった方が簡単で正確なので、半透明のプラスチックダンボールを乗せて寸法を写し取りました。 |
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その寸法を5ミリ厚位のベニヤ板に写し取り、 歪み防止のために裏側に角材を釘で打ちつけ補強しました。 厚めの合板なんかを使った方が歪まなくて良さそうですが 意外にも薄い板の方が板自体の「反り」が出難いので平面を作り易いです。 |
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エンジンルーム脇のカバーにL字アングルを4箇所に 両面テープで固定。 ベニヤ板がカバーより上に出ないように調整しています。 |
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一旦ベニヤ板を載せて更に詳細にカバーとの隙間を微調整しておき、出来上がった土台にスタイロフォーム(50mm厚)を木工用ボンドで接着しました。 | |
カバーのフチの高さに合わせてマジックでマーキングし、 フードのセンター部分は削らないように周囲を削ります。 自動的にボディ形状に添った緩やかな3D形状になっていきます。 |
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あとは好きなようにサンドペーパー、サフォーマーで堀々。 裏骨を作りたくないので全体的な3D形状、窓枠の段差、ダクトの溝で剛性が確保できるように工夫しています。 (剛性があれば薄く作る事が出来るので軽量化にもなります) 後方視界確保の為の窓のスペースは少々大きめに作りました。 (自分が参加する走行会では遅い方から数えた方が早い位なので、いつも後方に注意しなくてはいけませんので(^^;) 排熱用の穴があまり大きく出来ませんでしたが、 完成してから後付けダクトあたりで調整する計画。 |
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スタイロフォームに直接パテを塗ったり普通のポリエステル樹脂を塗ると溶けてしまうので、スタイロが溶けない専用の樹脂を塗ります。 ローコストでいくなら木工用ボンドでコーティングも有りなのですが 乾燥の遅さや強度の問題等、使い難い面もあるので今回はやめておきました。 樹脂はタルクを適当に混ぜて垂れ難くし、刷毛で塗っていきます。 塗るのは薄くて良いのですが確実に全面を覆わなくてはいけないので、2回に分けて塗ります。 1回目では多少スタイロに吸収されてしまうので1回目が硬化してから塗り重ねていきます。 |
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樹脂が硬化したら樹脂の表面のWAX分を落し、次の工程で塗るパテの密着を良くする為に全体を「軽く」ペーパーがけします。 樹脂を削りすぎて下のスタイロが露出してしまったら樹脂コーティングからやり直しなのであくまで「軽く」です。 この後はパテとの格闘モードに突入するわけですが そのそこ「面」は出ているのでとりあえずパテを吹き付けてみます。 パテはそのままでは吹き付け出来る粘度ではないので、パテ、硬化剤をそれぞれ別な容器でアセトンによく溶かし、塗る直前に混ぜ合わせます。 通常パテは硬化剤を混ぜると数分で固まってしまいますが、アセトンを混ぜているので10〜20分程度は吹き付けられる粘度を保っています。 |
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あとは「納得出来る迄」or「根気が続く迄」パテを盛ったり削ったりします。 もちろん私は根気が続かないので程々で終了(笑) サフェーサーを吹き付け、研磨した後で塗装しました。 サフェーサーで終わらせてもよかったのですが、 黒に塗装した方が面の「歪み」を見つけやすいので塗ってみただけです。 |
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同時進行で全く同じ手順でシュノーケルも作っています。 これをエンジンフードの上部に取り付け、この下からホースを引き、エアクリーナーに直接走行風を送る予定です。 |
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雌型作りの準備でマスター型にフランジを取り付けます。 裏側から細長く切ったベニヤ板を接着するだけでOKです。 あとは全体に離型ワックス処理をしてマスター型は完成です。 |
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シュノーケルは分割型にしないと抜く事が出来無いので 中心から2つに分けて雌型を作ります。 離型ワックスを数回処理した後で 大体のラインに合うようにベニヤ板を切り抜いたものをホットボンドで固定していきます。 隙間無くピッタリとはいかないものなのであまり気にしません。 ベニヤとマスター型の間に出来てしまった隙間には油粘土を詰め込んで埋めておきます。 |
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PVAをスポンジで薄く塗り、良く乾燥させたら型用ゲルコートを塗布。 スプレーガンで吹き付けられるようにアセトンで希釈してあります。 刷毛塗りの場合は原液のままの方が良いです。 |
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シュノーケルにも型用ゲルコートを吹き付けますが 分割型なので反対側にゲルコートが付かないようにマスキングして吹き付けました。 |
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まず#450のガラスマットを1層積層し、硬化後更に2層積層 (ここまではノンパラフィン樹脂を使用しています) さらにそれが硬化した後で木材の補強板をFRPで接着して完了。 補強板を接着するついでに 全体をパラフィン溶液を混ぜた樹脂でコーティングして雌型完成 |
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シュノーケルの方は分割型なので、片側が硬化した後 分割に使ったベニヤ板、粘土をきれいに取り除きます。 残った面に離型処理し、型用ゲルコートを塗布して同じように積層します。 積層はエンジンフード本体と同じでノンパラで3層、最後にパラフィン溶液を混ぜた物を全体に塗っています。 |
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1日くらい放置して硬化させてから脱型。 ゲルコートの「欠け」「チヂミ」も無く綺麗な状態に出来上がりました。 この後雌型の内部を磨くわけですが、量産するならともかく 最大で抜いても2個程度なので、PVAを塗った時の縞だけをサラッと#400辺りで水研ぎして終了です。 まったくピカピカにはなりませんが、離型ワックス処理をしっかりやればこれでも問題無く脱型出来るはずです。 |
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シュノーケルの分割雌型を組上げて覗いてみたところ。 ある程度までは雌型をバラした状態で積層し、組上げてから合わせ目に積層して接着する予定です。 手や道具が入るかどうか心配していましたが、なんとかなりそうなスペースは有りそうです。 この後分解して離型ワックス処理をしますが フランジの面にはワックスをしっかり塗って拭き取りはしません。 |
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製品用ゲルコート(黒)をスプレーガンで塗布。 アセトンで15%ほど希釈しています。 ※ゲルコートは厚く塗ります。薄いと「縮み」といって出来上がった製品の表面が皺やひび割れのようになってしまうトラブルが発生する可能性が高くなります。 |
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シュノーケルは分割型なので、ゲルコートがフランジ面に付かないようにマスキングしてゲルコートを吹き付けました。 ゲルコート硬化後、#450を2プライ積層しますが、 分割フランジの際(きわ)から1〜2センチ程度には繊維&樹脂が付かないように注意しながら積層します。 樹脂はノンパラを使用しています。 |
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硬化後、雌型をボルトやクランプを使用して組み立て、 フランジの際の積層されていない部分に5cm幅の帯状にしたガラスマットを2プライ貼り付けて接着します。 手はかろうじて入りましたが、型の奥の方はエア抜きのローラーがかけ難くてけっこう大変な作業です。 |
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エンジンフードも積層開始。 こちらは厚みを薄くして軽量化する為に #450より薄い#300を2プライ、 その後補強の為に#120のクロスを積層します。 最後のクロス積層時にパラフィンを混ぜた樹脂を使います。 このくらいの大きさになると一人では相当苦労するので いつものように助っ人をお願いしました。 |
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ところで ←はエア抜きに使っているローラーです。 今回作っているエンジンフードくらいの大きさでも エア抜きに使っているのは真ん中の2本(同じ物です)だけです。 これは鉄ネジローラーで直径が10ミリ、幅が25ミリのものです。 同じ物が2本あるのは1本が自分用、もう1本は助っ人用ってわけです(笑) 両側のサイズ違いの物もだいぶ前に購入した物ですが、使用頻度はかなり少ないですね。 大きいのはよっぽど平面で面積が大きい時(アンダーパネルとか)、小さいのはまだ1回使っただけでほとんど道具箱の中です(苦笑) |
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近所のホームセンターではアルミネジローラーしか売っていなくて 以前はアルミの物を使用していましたが、作業後にしっかりアセトンで洗浄しておかないと固まって使用不可能になってしまいます。 これが鉄ネジローラーの場合は作業後に樹脂まみれで放置してしまっても このようにガスバーナーで炙って樹脂を溶かしてしまえば全く問題なく再使用することが出来るのでとても重宝しています。 ※アルミのローラーでこれをやるとローラーが溶けてしまうので× 今では作業開始前にローラーを炙るのが儀式になってしまいました(笑) おかげでローラーはすっかり真っ黒になっています |
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さて、1日置いて硬化させて脱型。 どちらもラクに脱型出来ました。 表面の仕上がりはまずまずOKです。 ※樹脂を入れていない繊維部分の周りがひび割れのようになっているのが分かると思いますが、これが「縮み」が起きている状態です。 この辺りはゲルコートがだいぶ薄いので発生したと思われます。 エンジンフードは軽量化を重視して#300を使ったせいか ペランペラン・・・ もちろんめちゃめちゃ軽く出来上がったのは良いのですが ちょっと剛性不足な感じ・・・ 窓とシュノーケルを固定したら少しは丈夫になるかもしれないので とりあえずはこのままいくことにします。 |
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不要部分を切り取り、窓枠部分もくり抜いた状態。 マスター型から別々に製作していたシュノーケルとフードをはじめて合体させることが出来ました。 窓枠にはまっているのは窓の寸法取り用のベニヤ板です。 |
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初代エンジンフードと同じように開閉式とするので 蝶番を取り付けます。 ルーフの後方に付いているパネル(名前は知らないですが)を取り外し、穴を開けて蝶番を取り付けました。 このパネルの材質はFRPで多少強度に不安があるので、裏側にはアルミの平板にナッターを埋め込んだ物を当ててあります。 パネルには大き目の穴を開けてあるので、エンジンルーム側に見えているボルトを緩めるだけで上下左右に6〜7ミリ程調整が出来るようになっています。 |
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エンジンフードがペラペラに薄いので、蝶番取り付け部周辺を補強します。 まず#450を1枚貼り、その上に蝶番の大きさより大分大きめに切っておいた厚さ1.5ミリ程の鉄板を載せ、更にその上から#450を更に広めに2枚貼り付けました。 積層部分を平滑にする為に、木片にビニール袋を貼り付けたものを載せてクランプしてあります。 |
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純正のロックを使用するので、鉄板と鉄の丸棒を曲げた物を作り それを溶接してこんな形のものを作りました。 各部を計測してはいますが、最終的には現物合わせで採寸しています。 |
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寸法をしっかり確認し、エンジンフード本体に接着します。 表面を粗めのサンドペーパーで荒らしてアセトンで拭き、 #450のマットを1枚貼り付けてから作った金具を載せ、 更に挟み込むように#450を2枚貼り付けておきました。 |
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この時点でシュノーケルと共に車体に仮付け。 左右で隙間にちょっと違いが出来てしまいましたが、 蝶番の取り付け穴をもう少し長穴加工すればなんとかなりそうです。 ま、概ね良好な仕上がり具合かな(^^) |
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フードを開けてみたところ。 フード本体がフニャフニャしているので チト不安定な感じ。 開き具合はこれが目いっぱいですが 基本的な整備作業をするには十分です。 |
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ただ不注意にエンジンフードを開けてしまうと ルーフにシュノーケルが接触して傷をつけてしまう恐れがあるので 何らかの方法で開く角度を規制しないとマズイですね。 |
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こっちもマズイです。 純正のロックではスプリングが強すぎてフードを閉めようとすると フードが割れてしまいそうな程。 そこで純正のロックを取り外し、中についているスプリングを ホームセンターで調達してきた弱いスプリングに交換。 見た目を頼りに適当に買ってきたスプリングでしたが 意外にも丁度良い硬さでした。 ←外れているのが純正のスプリング。 |
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エンジンフードを閉めた時の高さ調整用にストッパーを取り付けます。 家具の下なんかに付けるゴムと長めのボルトを組み合わせ、エンジンルームの後方にあった既存のネジ穴を利用して取り付けました。 |
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一旦サフェーサーを塗装し、その後ルーフと同じガンメタで塗装しました。 |
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シュノーケルはボディ色と同じシルバーで塗装しました。 | |
シュノーケルとエンジンフードを組み立て、3ミリ厚の耐候ポリカーボネートを窓の形に合わせて切り出したものを取り付けます。 エンジンフードの窓枠部分にはナッターを打ち込んでおき、窓の全周には防水用の両面テープを貼って水の浸入を防いでおきます。 あとは窓をビスで固定してフードを車体に取り付け 完成! ・・・なのですが、実は多少問題が発生してしまいました(^^;) 全体の隙間を厳しく作りすぎたせいか、トランクの開閉時にちょっとだけフードと干渉してしまいます。 どっちかを少しだけ削れば干渉は避けられそうですが、もう塗装してしまったので・・・ |
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