S14用 フロントバンパー製作


フロントフェンダーの幅を広げたのでノーマル、一般的な社外品バンパーでは全く合わないので、フロントバンパーの製作をします。

まずはマスター型製作の準備。

12mm厚のコンパネを必要な大きさより大きめに切り出し、10cm角のマス目を書き込みます。

地面と水平に合わせ、センターも下げ振りで正確に位置出しします。

「バンパー本体」と路面との隙間は100mm前後になるように調整。
これは最低地上高90mm以上を確保するのはもちろんですが、通常走行時に簡単に擦って破損してしまうのを防ぐ為でもあります。

このバンパーの下には「アンダーパネル兼リップスポイラー」を別途製作し、リップと路面の隙間は40〜50mmに設定し、サーキット走行時のみ取付けられるようにする予定。


コンパネもけっこう重いし、これに発泡材やらパテやらの重みが乗ると相当な重量になるので、角パイプを使ってフレームにガッチリと固定。

コーナランプの裏側辺りからも板の垂れ下がりを防止する為にステーを取り付けてあります。
(こちらはアルミの丸パイプ)


コンパネの上に50mm厚のスタイロフォームを切り出したものをどんどん積み上げていきます。

接着には木工用ボンドを使用。

もっと厚みのあるスタイロフォームがあればラクなんですが、この厚さだとけっこうな枚数を切り出さなくてはならないのがちょっと面倒。

ボンドもなかなか乾かないので時間が掛かります。


ヘッドライトやフェンダーの下部ラインは地面と並行にならず、スタイロフォームを隙間無く切って嵌め込む事が困難になると予想していたので、スタイロフォームをほぼ積み終わり、すきまが狭くなったところに予め車体から型取りして作っておいた天板を差し込みます。

少し残った隙間は発泡ウレタンを入れて塞ぎます。

天板は4mm厚のベニヤ板ですが、ホームセンターで手に入る最大幅が1820mmで1枚ものでは現在の車体幅(1860mm)には足りなかったので、中央で2分割にして表裏に#450マットを貼って繋ぎました。

天板はとりあえず大きめにしてあり、後で形状を見ながら調整する予定。



あとはサフォームでガリガリ削り出し。

天板は必要最小限を残し、切り落としてしまいました。

フロントバンパーは奇をてらわずシンプルな形状にします。

余計なダクト類も作らない予定。

この方が空気抵抗や乱流の発生が抑えられて空力面ではプラスになるはず。


なにより・・・造るのが簡単で良いです(笑)


いつもですと「発泡スチロールが溶けない専用の樹脂」をコーティングするのですが、今回はモノが大きく、必要な樹脂量が多いので、経費削減の為に別な方法を採ります。

まず全体に「木工用ボンド」をしっかり塗って固め、さらに全面に「アルミテープ」を貼ります。

この後に普通のポリエステル樹脂を塗るわけですが、少しでもスタイロフォームに染み込んでしまうと笑っちゃうほど溶けて変形してしまうので、

木工用ボンドは全体に2回、絶対に塗り忘れが無いように気を配り、アルミテープも隙間が出来ないように重ね代を多めにして樹脂漏れを防ぎます。

専用樹脂を使った場合に比べて時間も手間も3倍位掛かりますが、材料代は五分の一にも満たない金額で済みます。


車体に取り付けたままの状態で貼れる部分に#450マットを2層貼ります。

もっと小さい物なら樹脂だけとか、マット1層とかでもいいのですが、この位の大きさになると自重で歪んでしまったり、パテ研磨作業や脱着時に破損してしまったりするのでマット2層でしっかり固めてしまいます。


取り付けたままでは貼り難い部分はマスター型を取り外し、ひっくり返して積層。

ここまでくると、割と雑に(?)扱っても壊れる心配が少なくなりました。


全面に足付けしてパテ処理に入ります。

まぁまぁ丁寧にガラスマットを貼ったはずですが、思いのほかウネウネ・・・。

パテの使用量がだいぶ多い事が予想されたので、いつものように樹脂とタルク、セメントトナー(赤)でパテを作って塗ったくり、削り倒します。


大きなうねりが取り除けたら市販のカーボンファイバーパテを使い、各部のライン出しや微妙な凸凹を埋めていきます。

このパテもけっこう硬いので研磨作業はかなり大変です。

#60のペーパーでゴリゴリ削ります。


更に残った小さな凸凹を取る為中目のポリパテに切り替え、細部のラインを仕上げていきます。

パテを塗る時も削る時もラインにマスキングテープ等を貼り、余計なところに塗らない、削らないようにしています。


ほぼ満足のいく仕上がりになったらポリパテをアセトンで溶かした物をスプレーガンで全体に吹き付けます。

車体に取り付けてフェンダーのラインと繋がるラインを仕上げます。


パテ全体を#240程度で仕上げた後、マスター型全体に製品用ゲルコート(黒)にパラフィン溶液適量、アセトンで少々希釈した物をスプレーガンで吹き付けます。

硬化後、#600の耐水ペーパーで水砥ぎして滑らかにします。

真ん中の開口部は奥に化粧版(黒)を貼って塞いでおきます。


これでやっとマスター型の完成です!


離型ワックス処理の前に、周辺フランジを作っておきます。

いつもはエンビ板とかベニヤ板をホットボンドで接着して作っていますが、
今回はホームセンターで見つけてきた

発泡ポリエチレンスポンジ」 を使用します。

このスポンジは幅が8mm、高さが10mmの物で、粘着材が付いています。

なので剥離紙を剥がしてマスター型に貼り付けるだけ。

1枚では高さが足りないので場所によって2段、3段と重ねて貼っていきます。

ご覧のようにかなりの曲率でもピッタリと貼り付けられるので、かなり時間&手間を短縮する事が出来ました。


スポンジを重ねただけだと少々不安定なのでアルミテープを貼って補強します。

マスター型はそのままだと作業し難いので足を付けて立てられるようにしました。

メス型製作準備が出来たので、離型ワックス処理を5回行い、PVAを塗って乾燥させます。


型用ゲルコートをスプレーガンで塗装して翌日まで待ち、積層開始。

#450を1層貼って硬化させ、硬化したら2層まとめて積層。

全体は3層、フランジは4層になるようにしました。

気温が30℃を超えていたので硬化剤は「硬化遅延タイプ」を1%で使用。

感覚的になってしまいますが、標準の硬化剤より3倍程度硬化が遅らせられて作業時間が確保出来た感じです。


成形品作業時に安定するように土台になる板を接着します。

5mm厚のベニヤ板を開口部の周りに配置しました。

何個も抜くわけではないので補強は入れないつもりでしたが、いちおう横のカーブした面に、フランジに使用した発泡ポリエチレンスポンジを4本程度並べて貼り、そこに#450マット2層をカバーして補強とします。


分割フランジを取り除き、サイド部分も同じように離型処理して積層。

このまま2日ほど野外で放置して硬化させました。


周囲のバリを切り取って脱型。

センターの穴の部分が抜け難いと予想していましたが、すんなり抜けました。

マスター型も破損せず、メス型にもトラブル無し。

メス型内面は最近はとくに磨きとかもせず、水洗いした後、離型ワックスがけに入ります。


離型ワックス処理は5回。

PVAを塗って1日放置後、製品用ゲルコート(黒)をスプレーガンで塗って更に1日放置。

#450マットを2層、#200クロス1層を積層。


積層後2日程置いて脱型。

割と簡単に抜けました。

角部の欠けやチヂミ等も発生しておらず、仕上がり良好。

しかし形状が単調なのが原因かと思いますが、ちょっと剛性不足気味。

でもまぁ見た目の大きさのイメージよりもだいぶ軽く仕上がっているのでこのまま行く事にします。

バンパー固定部分やカナード取付け位置には必要があれば貼り増しする予定。



バンパーは無事に抜けたのでオプション部品の製作。

←カナードです。

プリントベニヤ板(2.5mm厚)と角材を組み合わせて必要な大きさより大きめに作成。

プリント面にFRPを貼って作るのでこちらが下になるようにしておきます。

板と角材は釘で固定しており。直角になっている角は繊維が馴染まないのでサンドペーパーで削り、丸みを付けてあります。



車体には破損せずに外れたマスター型が取り付けてあるので、これにカナードのベースになる板をホットボンドで固定します。

取付け位置は左右対称になるように寸法をしっかりと測ってあります。

ローラーで押した時にグラグラしないように接着部に三角の板を接着して補強してあります。


マスター型を車体から取り外し、逆さまにして積層作業。

離型ワックスは1回だけサラッとかけて拭き取ってあります。

ガラスマットは先に板に合わせて裁断してあり、#450を3プライ積層しました。


脱型してあるバンパーを車体に仮固定、フィッティングの確認です。

フェンダーと合わせるサイド部分の幅が多少バンパーの方が広くなっています。

これはフェンダーの下側が内側に寄ってきてしまっているのか、バンパーが広がっているのか判断が出来ませんが、片側で数ミリなので少し押しながらボルトで固定したらピッタリフィットしました。


カナードも2日ほど放置してマスター型から取り外し、
周囲のバリを切り取って取付け。

当然、製作したバンパーの形状に完全に一致。

汎用品ではこんなに隙間無く取り付けることは難しいですね。


カナード取付け部とサイドのバンパー固定部の補強をします。

外したバンパーを再度メス型の中に入れ、カナードの裏とサイドの取り付け部が繋がるように#450を2層貼り付けました。

バンパー本体の積層はノンパラで終わらせていたので、特に足付け等はしていません。


バンパーの取付けステー等を作っていきます。

フェンダーとの固定部には1mm厚の鉄板でステーを製作。

ステーはフェンダーに固定し、ステーにはナッターを打ち込んであります。


バンパーは横からボルトで固定します。

いちいち裏側に手を入れなくても表側から簡単に脱着可能です。


純正のバンパーステーを紛失してしまったので新規にステーを製作。

角パイプを加工して作りましたが、鉄の角パイプはけっこう重い為、
ホールソーで穴を開けまくって軽量化。

元の重さの半分近い重量まで落とすことが出来ました。


S14は通常、バンパーにウインカーが装備されていますが、バンパーの脱着を容易にしたかったのと、最低地上高の関係で今回製作したバンパーには当初からウインカーを取り付けるようには作りませんでした。

当然、車検時には問題となるのでウインカーを付けなくてはなりませんが、なるだけスマートに収めたいのでコーナーランプ内にウインカーを取り付けます。

コーナーランプのレンズをドライヤーで暖めて外し、元々あるスモール球の上側の空いているスペースに穴を開けてウェッジ球用のソケットが差し込めるように加工。

光が混ざらないようにする仕切り板をアルミの薄板で製作。


仕切り板をランプケースにパネルボンドで接着し、レンズとケースの合わせ目にはシリコンシーラーを塗って嵌め込みます。

配線加工して点灯。

光も漏れず上手く仕上がりました。

スモールとウインカーの境目には黒のラインテープを貼ってアクセントを付けてみました。


フェンダーと同じシルバーで塗装して取付け。

フロントバンパー、フェンダーを取り付けた状態で構造変更検査を受けてあり、このまま公道走行可能になっています。


カナードは黒に塗装してからカーボンシールを貼ってみました。

ホントはカーボン繊維で作ればいいんでしょうけど(笑)

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