HT-07A タービンO/H


リビルトで購入し、アルトに取り付けて僅か1回のサーキット走行で煙が出てしまったHT07タービン。

このタービンの上でのパワー感はやはり捨てがたいし、そもそも勿体ないので修理を試みてみます。

取り外し前の点検ではインテークパイプやインタークーラー内にオイルがまわった形跡が一切無かったので、タービンのエキゾースト側からのオイル流出だと考えられます。

シャフトのガタもチェックしましたが、ボールベアリングではないので少しだけ遊びがある程度で、特に問題なさそうです。


分解前にコンプレッサーハウジングとセンターカートリッジ、エキゾーストハウジングの合わせ目にポンチを打って元の位置に戻せるようにしておきます。

ハウジング固定用ボルトを全て取り外し、ハウジングとカートリッジを切り離します。

場所によってスパナしか掛けられないのでボルトの頭をナメないように注意。


案の定タービンホイールとエキゾーストハウジング内がオイルで濡れています。


タービンホイールとシャフトは一体物なので、シャフト端部を10mm12角のボックスかメガネレンチで押さえます。


コンプレッサーホイール側に7mmのナットが付いているのでこれを緩めます。

逆ネジになっているので注意。

ネジロック剤も塗布されているようで、少し硬いので慎重に。

ナットが外れたらコンプレッサーホイールは差し込んであるだけなのでマイナスドライバーを2本使い、軽くコジって取り外します。


コンプレッサーホイールの裏にあるプレートは皿ビス3本で固定されているので取り外し、プレートを引き抜きます。


コンプレッサー側は特にオイルがまわった様子も無く、キレイな状態。


プレートを外した更に奥のプレートもビス3本で固定されているので取り外します。


プレートを外すと軸受のブッシュとオリフィスが現われます。

ブッシュもオリフィスもただ嵌っているだけなのでタービンをひっくり返すとポロっと落ちてくるので無くさないように注意。

Oリングも外しておきます。


プレートの裏にはフローティングメタルが付いています。

リビルト済みタービンだったので、当然傷や摩耗も無く、良い状態です。


外したタービンホイールはその裏のカバーと共にオイルが焼けてこびりついています。


実は今回オーバーホールする事にしたきっかけは、知り合いからHTタービン用のオーバーホールキットを頂いたからというのも理由のひとつ。

←オーバーホールキット

ただ、ひとつ気になったのは、コレが入っていた箱に「HT06」と書いてあった事・・・。


分解が完了したので、早速各部品が適合するか確認しましたが・・・。

いきなりタービンシャフトのブッシュが合いません・・・。

外径は同じですが内径が細くて使えません。

左がオーバーホールキット付属の物、右がHT07から外した物。

ただ、ブッシュは摩耗も傷も無いので、再使用しても問題はなさそうなのでここまま組み込みます。

ちなみにフローティングメタルも大きさ、形は同じでしたが、オイル穴の数が違うので使用は躊躇われます。


今回のタービンO/Hで肝心な部品、タービンシャフトの首元に付いているリング(シール?)だけが寸法が全く同じなので使えそうです。

左が外した方、右がキットに入っていた物。

リングの合わせ目の隙間が違いますが、これは取り外す際に広がってしまった為です。


リングが嵌る部分をブラシで掃除し、リングを嵌め込んだところ。

この部品位しかオイルを止めている部品はなさそうなので、コレで直るといいんですが・・・。


タービンホイールの裏側に入るカバーも同じサイズだったので新しい方を組み込みます。


センターカートリッジにタービンシャフトを差し、コンプレッサーホイールを差し込んでナットを締めて固定します。

ネジ部にはネジロックを少量塗布しておきました。


エキゾーストハウジングは組み込む前に小加工。

少しでもブーストが安定するようにバイパスポートを拡大加工しておきます。

リューターで削って直径で約1.5mm大きくしました。


エキマニとの合わせ目もガスケットに合わせて削っておきました。


コンプレッサーハウジングは何となく眺めていたら・・・いつの間にか磨いていました(笑)

もちろん外面だけではなく、吸入口と吐出口の中も磨いてありますよ。


最初に打っておいたポンチマークに合わせて組立てて、タービンO/H完了。

つってもエキゾーストのシール交換だけですけどね。

外したシールも特にダメージが無いので、これで白煙が止まるとは思えないんですが・・・。

結局、いくらネットで探してもHT07用のオーバーホールキットが見つからないので、これでダメだったら残念ですがこのタービンは廃棄処分ですかね。