カーボンエアアウトレットダクト製作


エアを取り入れるインレットダクトはだいぶ前に製作しましたが、今度はエアを排出するアウトレットダクトを作ります。

サイズ的には小ぶりで、MR-Sのエンジンフードにこれを2つ取り付ける予定で作りますが、アルトのボンネット辺りにも丁度良い大きさになる汎用タイプです。

では先ずマスター型から。

これはもう2.3mm厚ベニヤ板を切ってホットボンドでくっ付けただけの簡単なもの。

周囲の1x4材はベニヤの反りを押さえる為のもので釘で取り付けてあります。

←裏側


ベニヤ板に直接ポリパテを付けて削り、こんな形を形成します。

今回はフランジ部をかなり広めに確保しました。

これはバキュームレジンインフュージョンで作業する際にやり易くする為です。

パテで形状が出来上がったら2液のウレタン塗料で塗装し、コンパウンド掛けと離型ワックス処理を5回行い、PVAを塗って丸一日乾燥させます。


PVAが乾燥した後、いつものようにゲルコートもどき(赤)を刷毛塗りし、ある程度硬化した頃に最初の層を#380マットで貼ります。

この際塗る樹脂にはタルクを50%程混ぜてタレ止めしたものを使用しています。


1層目がそこそこ固まったのを確認出来たら、#450マットを5プライ程度、途中に3mm厚ハニカムコアマットも挟んで一気に貼ってしまいます。

樹脂はノンパラの低収縮低発熱樹脂を使用。


24時間置いて完全に硬化させてから脱型。

全くトラブルなく、キレイに出来ました。

この後表面のPVAの跡を耐水ペーパーで削り、最終的にコンパウンド掛けまでして仕上げます。


ところでメス型の裏側は当然表が凸型なので凹型になっています。

この凹みがこの先行うインフュージョン工法ではちょっと都合が悪いので塞いでおきます。

薄いベニヤ板を凹みの輪郭に合うように切り出し、ホットボンドで固定します。


インフュージョン工法の事だけを考えるならこの程度でも良いのですが、インフュージョン工法にプラスしてちょっと「実験」したいことがあり、その場合少々強度が必要なのでガラスマット2プライ程度で接着補強しておきます。



メス型に2箇所穴を空け、「ウインカーボルト」という貫通穴の開いたボルトを取り付けておきます。

これは真空引き&樹脂注入用のホースを接続するパーツです。

通常のインフュージョン工法では型の表側にジョイントを付けて真空引きと樹脂注入を行うのが普通ですが、これも「ある実験」の為、メス型の表側にホース類を取り回したくないからです。

取り付けはメス型にタップでネジを切り、ネジ山にポリエステル樹脂を塗って締め込んでいます。


そこに30mm径のワッシャーをエポキシ接着剤で取り付け。

硬化したらインフュージョン専用メス型の完成です。


使い方はワッシャーの上にゴムパッキンを載せ、


バギングバッグに予め10mmの穴を開けてから通し、その上にゴムパッキンを載せてワッシャーを置き、ナットで締め付ければ完了です。

ゴムパッキンには少量のグリスを塗って滑りを良くしてあり、ナットを締めた時にバギングバッグが捻じれないようにしてあります。

まだ真空テストはしていませんが、これなら絶対漏れないでしょう。


メス型は離型ワックス処理を5回行い、PVAを塗り、クリアゲルコートを塗りました。

ガレージでの作業なのでゲルコートは刷毛塗りです。


カーボンクロスをこの形状に一枚物でキレイに貼る自信が無いので型紙を作ってカットして貼る事にしました。

全部カーボンクロスだと厚みも出ないし材料代もかかるので、この上に#450マット1枚を貼り、最後にカーボンクロスを貼りました。


インフュージョン用の材料(防草シート、野菜ネット、スパイラルチューブ)を配置し、バッグでくるんでクリップシーラーでシーリング。

上側にはホース類が無いのでスッキリしています。


吸入口&注入口が下側に飛び出しているので、専用の台を2x4材で作りました。

台に乗せてからホースを接続出来るようになっています。


真空引きは一発で漏れも無く決まったのでインフュージョン開始。

使用したのは普通のポリエステル樹脂。


樹脂注入完了後、丸一日置いて脱型。

カーボン目も崩れずキレイに出来上がりました。

ちょっとだけ気になるのはゲルコートを刷毛塗りしたので膜厚が厚い所が出来てしまい、そこだけ透明感がイマイチな所ですかね。

あとは気泡も一切無く、かなりイイ仕上がりです。


クリヤー塗装をした後、アルトのボンネットのラジエター直後に取り付けました。


あと二つ、今度はエポキシ樹脂を使い、カーボンクロスのみ3プライで作ってMR-Sのエンジンフードに取り付けました。
戻る