リアゲートカーボンアウターパネル



HA25アルトのリアゲートを軽量化の為に穴をあけたり内側のパネルギリギリまで切り取ったりしましたが、もう少し軽くしたいのでアウターパネルをカーボンで作って貼り換える事にします。

この後の作業が楽になるし見た目もスッキリするので、アウターハンドルを無くしてスムージングしてしまいます。

ただ、外からリアゲートを開けられなくなるので少々使い勝手は悪くなりますが・・・。


アウターハンドルを外した部分にピッタリに切った鉄板をあてて溶接。


歪みが大きくならないように溶接は少しずつ行いましたが、パネルが薄くてコシが無いので思いの外広い範囲に歪みが出てしまったのでパテ処理の範囲も広がってしまいました。

どうせ使わなくなるパネルなのでFRPで塞いだ方が良かったかな?

次回この手の作業が発生した時はFRPで行う事にします。


パテを均したらアウターパネル全体を二液ウレタン塗料で塗装。

塗装中に付いた小さなブツもしっかり取ってポリッシングし、離型ワックス処理をしておきます。

メス型を作るわけではないのでフランジは必要ないのですが、積層中に樹脂が裏側に回り込むと後始末が面倒なので工作用紙にアルミテープの簡易フランジを付けてあります。


いよいよカーボンクロスを貼っていきます。
樹脂はエポキシ樹脂を使用。

樹脂をクロスの上に垂らし、ゴム製のスキージーで広げながら浸み込ませていき、一層毎に余分な樹脂を掻き取ります。

3プライにしようか4プライにしようか迷いましたが、どの程度の強度になるのか分からず、あまりペラペラだとあとで修正のしようもないので今回は4プライ積層しました。

アウターパネルの面積はほぼ0.5uなので4プライで2u、クロスの重さは多分200g/u位なのでクロスの重量は400g程度になります。

今回使用したカーボンクロスの適正な樹脂量が分かりませんが、過去に#200ガラスクロスを使った時のデータだと繊維量×1.2位だったのでおそらくその付近になるのではないかな?と思っています。

←4プライ貼り終えたところ。
樹脂をかなり絞り取っているのでこの段階では表面に繊維の凸凹が浮き出ています。


表面はツルツルにしたいのである程度樹脂が硬化した段階で刷毛を使って表面に樹脂をやや多めに塗り広げます。


その樹脂が硬化したら硬めのパッドを使い、耐水ペーパーで表面を研ぎます。

樹脂の厚みはあまり厚くないのでクロスまで削らないように注意し、低い所がまだ残っている場合は再度樹脂を塗り、同じ工程を繰り返します。

←2回の樹脂塗り、削りをした直後。

まだ低い所が有るので再度樹脂塗りと削りを行います。

ペーパーの番手は#320を使用。最後の削りは#320→#600→#1200という順で仕上げています。


←#600で削っている最中。

この段階でも水で塗れているとこんなにピカピカ。


リアゲートからはみ出ている部分を切り取り、ゲートから剥がします。

思ったより・・・厚みがあって重いですね・・・。

早速重量を計測したところ904g。

クロスの重量が400g、樹脂量が×1.2で480gなので最後の仕上げに表面に塗った樹脂を除けばほぼ計算通りの仕上がり重量になっています。

これでどの程度軽量化出来るのか、リアゲートのアウターパネルを剥がして比較してみないと何ともいえないところです。


リアゲートからアウターパネルのみ剥がしますが、アウターパネルはフチで折り返してインナーパネルを挟んで固定しているのでゲートのフチを板厚分だけ削るときれいに剥がす事が出来ます。

パネルの厚みは0.5〜0.6mm程度なのでサンダーをちょこっと当てるとすぐに削れてしまいます。

全周削り終えたらアウターとインナーの隙間に薄いスクレーパーを差し込み、合わせ目の接着剤を切っていくとパカっと外れます。


外れたアウターパネルの重さを計測したところ2330gもありました。

アウターパネルの交換だけで1426g軽量化出来る事になります。

今回4プライで作って904gだったので、1プライ当たりの重量は226g。

この大きさのパネルなら3プライで充分な感じなので、3プライで作れば678gで出来あがる予定で、そうなるとアウターパネルだけで1652g、つまり約1.6kgも軽量化出来る事になります。

リアゲート丸ごとカーボン化すればもっと大幅に軽量化出来るとは思いますが、そうすると表と裏のメス型が必要になり、かなりの手間と材料費が掛かってしまいます。

今回の方法なら元になるパネルだけあればメス型は必要無いし、材料の無駄も殆ど出ず、製作にかかる時間も大幅に短くて済み、その割に軽くなるので中々良いのではないのでしょうか。

ところでこの方法は特に海外ではポピュラーに行われている方法のようです。


軽量化の為にリアゲートのウインドーもポリカーボネートにしますが、ポリカーボネートを三次元曲げするのは困難なので二次元曲げで済むように専用の窓枠を製作します。

取り外したリアガラスの裏側に発泡面木で適当な大きさの枠を組み、全面にアルミテープを貼ります。


そこに#450マットを2プライ位積層し、硬化後取り外すとリアガラスの形状の中に窓枠が出来あがります。


窓枠に合わせて2mm厚ポリカーボネート板を切り出し、裏側から周囲2cm程の幅で塗装して黒い縁取りをしておきました。


窓枠、カーボンパネルをそれぞれリアゲートに接着。

接着には自動車ガラス用接着剤を使用、プライマーはリアゲートの鉄部分にはボディ用、カーボンパネルと窓枠にはガラス用のプライマーを塗っておきました。

カーボンパネルの方はエポキシ樹脂を使用したので全く「反り」は出ておらず、置いただけでリアゲートの骨とピッタリ接合出来ましたが、窓枠の方はポリエステル樹脂なので結構反ってしまっていたのでビスで仮留めしてあります。


丸一日放置して接着剤が固まったらリアゲートの取替え。

重量を測定したところ、元のリアゲートが13.7kg、軽量化した方のゲートは8.7kg
きっかり5kg軽量化する事が出来ました。


ゲートが軽くなったのでリアゲートダンパーは1本で済むようになり、ここでもダンパー1本分軽量化出来ました。


当り前ですが裏側から見てもしっかりカーボン(笑)


接着剤だけでは少々不安が残るので、一応各パーツはビスやリベットで四隅を留めておきました。