2. 雌型製作
実を言うと雌型を作るのはまだ2回目(^^;)

しかも分割型を作るのは初めて。

ううむ、上手くいくんだろうか・・・


とりあえず原型の周辺にフランジを作るべく
塩ビ板を張りめぐらせます。

フェンダーの「耳」部分が脱型し難くなると思ったので、フェンダーアーチ部分で分割する事にしました。
塩ビ板を裏側から両面テープで固定し、更にガムテープで補強しておきました。


両面テープの厚さの分、どうしても原型と塩ビ板の間に隙間があいてしまいます。

某参考書によると「隙間には油粘土を詰め込む」と書いてあったので、とりあえず押し込んでみました。


・・・本には簡単そうに書いてありましたがなかなか上手くいきません。


イライラしながら粘土と格闘すること1時間・・・

パテヘラで押し込んだり削ったりし、指先が粘土だらけになりながらやっとここまで綺麗に(?)なりました(^^;)

色々なFRP工作関係のサイトを見てきましたが
ほとんどの方がこの方法をとっているようです。

しかし塩ビ板は柔らかいうえに、両面テープで固定しているので不安定だし、粘土は扱いにくいし・・・

なんかいい方法はないんですかねぇ(--;)

なんて事を言っていても始まらないので、翌日の雌型製作に備えて離型ワックスPVAを塗っておきます。
今回は失敗は絶対に避けたいので本物の(?)PVAを使用しました。


翌日は早起きしてゲルコートを塗るところから開始。
(実はゲルコートの現物を見るのも触るのも初めて!)

使用したのは型用の3液タイプのゲルコートですが、思っていたよりも大分粘度が高く、140番のデフオイルのような(?)固さでした。

まずナフテン酸コバルトを使う分のゲルコートの0.5%にあたる分量を入れてよく撹拌し5分ほど放置、その後ポリエステル樹脂に使うのと同じ硬化剤を1%混ぜて再度撹拌し刷毛塗りしました。

当日は気温が低くなかなか硬化しなかったので、やむなく車の中に入れてヒーター全開で無理やり乾燥させました。

当然車内はゲルコートの匂いが充満・・・・く、臭い


2時間ほどしてやっと硬化したのでガラスマットの積層にとりかかりました。

元FRP職人の先輩に手伝って頂いたので、貼り込みは非常にスピーディ&スムーズに進みました(^^)

様子を見に来ただけの先輩にも無理やり(?)作業に参加してもらい、3人で分担して作業をしたのですごい速さで作業が進みます。

いつも硬化が早くてあわてて作業していますがこの日は逆に硬化が遅く感じてイライラする位 (゜▽゜;)


この日は天気が悪い上に気温が低くて硬化が遅く、型補強用の板を固定するところまでは作業できませんでした。

しかし元FRP職人の先輩によると

「先に貼った所が硬化する前に補強板を貼り付けると樹脂の収縮で型が歪む事があるから後で貼り付ければいいよ」

と教えて下さったので補強版は後日貼り付けることにし、この日の作業は終了。

結局貼り込んだ枚数は
サーフェースマット×2
#450のガラスマット×4
使用したポリエステル樹脂は3.6キロでした
で!

やはりと言うか・・・
事件発生。


分割フランジの粘土を取り除いている作業中に雌型から原型が離型してしまい、
残りの部分の型を貼り込む事が困難に・・・

普通はなかなか剥がれなくて苦労するんだけどなぁ(−−;)



せっかくここまで順調に進んでいた雌型を廃棄するわけにはいかないので、なんとかして雌型の残りの部分を完成させなくては!

どうせ剥がれてしまっているので、先に雌型の内面を磨いて不要な部分のバリ取りも済ませてしまう事にしました。

なかなか昼間に作業出来ないので、やむなく仕事から帰宅後に部屋の中で作業開始。

電動工具を使っていないとは言っても切断作業は音も出るし、粉塵も舞うので皆さんは真似しないように(笑)


剥がれてしまった原型を再び雌型に押し込んでクランプでがっちり押さえてから残りの雌型を貼り込む事にしました。

幸いリベット用に原型に作った窪みと雌型に転写された出っ張りがガイドになり、心配していた位置の狂いもなさそうなのでこのまま作業を再開します。

原型を押し込む前に雌型内部に離型ワックスを塗って拭き取らないでおきます。

これは一度剥がれてしまった為に僅かながら隙間があるはずなので、万一その隙間から樹脂が入り込んでしまった場合にくっ付いてしまわないようにする為です。


両面テープは信用出来ないので(?)試しにホットボンドを買って来て使ってみました。

これがもう最高!
固定したいところににゅるーっと流すと、あっという間に固まって結構がっちり固定してくれます。

おまけにけっこうな隙間でも流し込んで埋めてしまうことが出来ます。

はみ出してしまっても無問題
カッターで削るか半田ゴテで溶かしてやれば簡単に取り除いたり剥がしたりできます。

これで粘土と格闘しなくて済んだので、作業時間が大幅に短縮できました(笑)


その後、離型処理をしてゲルコートを塗布しガラスマットを3プライ積層、補強板も接着しました。

←は1日乾燥させてから型を組み合わせる為のボルト穴を開けた後に離型させたところです。

分割型にしている為なのかは分かりませんが簡単に離型出来ました。

剥がしている最中に気が付いたことですが、ホットボンドはどうやら離型処理をしなくてもポリエステル樹脂とはくっ付かないようです。

ホットボンドのパッケージの裏には”材質 EVA”と書いてあり、名前からして離型剤のPVAと似た材質なのかも知れません。

またも部屋の中で作業していますが良い子は真似しないように(笑)


余計なバリを切り落とした後、再度組み立てて仕上がり具合を確認しました。

やはり一度剥がれてしまっているせいでフェンダーの耳のエッジの部分がいくらか段が付いてしまいましたが、製品を成型した場合に多少ゲルコートが出っ張る位で済みそうです。

製品にへこみが出来てしまうと修正に手間がかかってしまいますが、出っ張っている分には少々削るだけの修正で済むので良かった・・・かな?

ここで得た教訓
型の分割線は原型の輪郭部分には入れない

フランジを立てる作業が多少面倒になっても型の分割は極力原型の平らな面で行わないと、せっかく原型でキレイに作ったラインを崩すことになりかねないです。
角部分から1〜2センチでもフランジをずらして成型するだけで仕上がりや、その後の手間が大分省けると思います。


これでやっと雌型の完成です。

これは型の裏面


こっちがこれからガラスマットを貼り込む型面

型面にはPVAを塗ったときに出来た刷毛目等で小さなデコボコが出来てしまっていたので、耐水ペーパーの320番あたりで均した後、800番で仕上げてから軽くコンパウンドで磨いておきました。

型のフチ、製品には必要が無い部分にはマスキングテープを貼って積層作業に備えます。