クランクシャフトの組み込みに入ります。 メタルの裏とブロックを良く脱脂し、磨いたメタルを載せます。 メタルの当たり面にはエンジン組み付け用の「アッセンブリールーブ」なる物を塗っておきます。 普通のオイルよりもかなり粘度が高く、ネバーっと糸を引くような物です。 |
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そこにクランクシャフトを載せ、スラストメタル、メタルを組んだキャップ、ラダーフレームを組み込んで規定トルク&角度で締付けます。 まずはトルクレンチで2.7〜3.3kgmで締付け、次に75°〜80°で角度締め。 今度は全部緩めて再度トルクレンチで3.3〜3.9kgmで締め、45°〜50°で角度締め。 |
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作業中には何度もでクランクシャフトをプラスチックハンマーで前後軸方向に叩きながら締付けます。 これは芯出しというかクランクとクランクキャップを無理のない位置に収める為に行っています。 また、締め付ける度にクランクを手で回し、引っ掛かりがないかとか急に重くならないかを常にチェックしています。 |
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次はピストンの組み込みです。 ピストンピンはフルフローティングなので常温でも入らない事はないですが、 ピストンをドライヤーで温めた方が無理なく手でスッと入ります。 ピストンリングは既に入れてあります。 リング溝、ピン、メタルにアッセンブリールーブをたっぷり塗り、ピストンリングコンプレッサーを使ってシリンダーに押し込みます。 |
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1気筒ずつ確実に締め付けていき、その都度クランクシャフトを回転させて重さに注意しながら全ての気筒を完了させます。 リングの張力やシリンダーとピストンの摩擦等が有るので少しずつ重くなっていきますが、引っかかるような感じやザラつくような違和感が無い事を確認します。 締付けトルクは 1.4k〜1.6kgmで締め、その後60°〜65°で角度締めします。 |
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カムチェーン、オイルポンプ&フロントカバーを取り付け、 オイルストレーナーやオイルパンバッフルをサクサク取り付けます。 この後、オイルパン、ウォーターポンプ、クランクプーリーを取り付けて 腰下は完成です。 |
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燃焼室容積を測ったのと同じ要領でピストントップの容積を測定しました。 3回連続で測定し、結果は 13.86cc 燃焼室容積が 48.54cc ボアxストロークが 86.2mmx86mm 圧縮比は8.5付近が目標値なので 1mm厚のヘッドガスケットを使用し、ヘッドを0.3mm程面研すれば良さそうです。 |
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ヘッドの加工、組み立てが終わるまでゴミやほこりがエンジン内に入らないように穴という穴は全てテープで塞ぎ、チェーン付近もラップして保管します。 | |
面研に出していたシリンダーヘッドが戻ってきました。 ボーリングの時に異常に日数が掛かった事を踏まえ、 今回は極秘の裏ルートで発注、なんと3日で仕上がって来ました! 宅急便での発送、返送時間を考えると僅か1日の特急でやって頂いた事になります。 削り量は0.3mm。 この後、切削で出来た燃焼室、水&オイル穴のエッジを細かいペーパーで落しておきます。 |
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バルブの摺り合わせをしています。 今回シートカットやバルブの交換はしていないので、バルブコンパウンドの細目のみで行っています。 排気バルブ側の数本だけがなかなか当たりが出なかっただけで、他はすぐに当たりが出たので程々でやめておきました。 (無用に当り幅を広げてしまうので) その後、計算どおりの燃焼室容積を確保出来ているか計測. 47cc丁度にする予定でしたが、計測結果は46.6ccとちょっと少なめ。 それでも一応、1mmガスケットを使用して圧縮比が8.55、 1.2mmの場合で8.42になる計算です。 ガスケットはどちらでいくか現在思案中。 |
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面研や容積測定、摺り合せ等で少々曇ってしまったバルブと燃焼室を磨き直します。 最後の仕上げと言う事で機械は使わず手で磨きました。 この後、スチームやエンジンクリーナーで徹底的に洗浄します。 カムシャフトへの給油穴やラッシュアジャスターへの給油穴はとても細いので 色々な方向からしっかり洗浄してエアーを通しておきます。 |
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いよいよヘッドの組み立て開始。 自作のバルブスプリングコンプレッサーですいすい組み立てていきます。 バルブステムオイルシールも新品を打ち込んであります。 |
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さて、面倒なロッカーアームシムの調整です。 ダイヤルゲージで測定するのですが、ほんのちょっとした具合ですぐに0.02〜3のゲージの動きが出てしまうので苦労しました。 Y字型ロッカーアームなので可能な限り同じ高さになるように調整します。 シムはいちいち注文して取り寄せていたら時間が掛かるので、なんとか場所を入れ替えたり、オイルストーンで削ってみたりしながらなんとか全てのガイドとシムの差を0.03mm以内に収めました。 数十回の計測で疲れ果てました・・・ |
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ダイヤルゲージスタンドをラッシュアジャスター部に固定する道具です。 穴径ピッタリのボックスを探し出し、ボックスの中心の穴にスタンドと同じネジピッチでタップを切って固定できるようにした物です。 ボックスが穴の底に届かなかったので先端に頭が丸いボルトを接着剤で固定してあります。 下のダンボールは計測結果を走り書きしたメモです。 |
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カムシャフトを押さえるホルダーの軸受け部をピカールでラッピング。 左が磨き前、右が磨き後。 |
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