TPMS(タイヤ空気圧モニターシステム)取り付け


TPMSはかなり前から販売されていたようですが、精度が高い物はかなり高価で、安い物は精度が全然期待出来ないという代物でした。

その頃(十年位前)からはだいぶ進化したはず(?)なので、物は試しと海外製の安物TPMSを購入、取付けしてテストしてみます。

購入したのはネットで3000円前後で販売されている物。

本体は太陽光電池で充電されで作動するので、基本的に電源を取る必要が無く、各ホイールに取り付けるセンサーはエアバルブにネジ込むだけなので、説明書通りに取り付けるなら非常に簡単な作業です。

しかし、走行前後でエアを抜いたり入れたりするサーキットでのスポーツ走行を考えた場合、その都度センサーの脱着しなくてはならず、作業が煩雑になるし、何よりセンサー取り付け部からエア漏れが発生する可能性が高くなってしまう恐れがあります。

そこでこのTPMS専用エアバルブをホイールに増設してしまう事にします。

そうすればセンサーの脱着を行わずにエアを入れたり抜いたりする事が出来るので、エア調整はいつも通り行えることになります。


エアバルブを追加するので当然ホイールには穴あけ加工が必要になります。

取り付けるホイールがスチールホイールなら簡単で、取付位置に直径11.5mmの穴をあけるだけで終わります。

アルミホイールも基本的には同じですが、リムの形状と取り付けるエアバルブの形状でちょっと工夫が必要です。

普通、アルミホイールにはネジ式のエアバルブを取り付ける事が多いですが、ネジ式の場合は取り付ける部分が平らになっていないとゴムパッキンの収まりが悪く、エア漏れする可能性が高くなるので、元々ホイールにあいている穴と同じような形状に加工する必要があります。

エアバルブを増設する位置は、元々付いているエアバルブと正反対に取り付けた方がホイールバランスが良さそうですが、実はその位置ではタイヤを交換する際に具合が悪い(チェンジャーでタイヤを組み込む際にエアバルブが邪魔になる)ので、市販されている有名メーカーのツインエアバルブのホイールと同じように、元のバルブからあまり遠くない位置(画像のような位置)に増設します。

リムに対して穴の中心が元のバルブと同じような位置になるようにマーキング。


ドリルがずれるとホイールが傷付くのでセンターポンチは強めにしっかり打ちます。

ところで今回加工するホイールはMR-S用に購入し、届いたばかりの新品箱出しホイール。

一本目のポンチを打つ時は流石に緊張しました(笑)


ポンチからズレないように5mm程度のドリルで下穴をあけます。

穴あけには大き目のトルクのあるドリルを使い、なるべく低い回転であけます。

リムに対しての角度も元の穴と同じ位になるように注意します。


元の穴と同じ形状に加工する為に廃ホイールで何度かテストして決定した15Φホールソー。

刃はバイメタルのような薄い物ではなく、刃の厚みが2mm位ある物。

これはバーリング加工に使う為に以前から家にあったもので、ドリル刃の径は6mm。


これも最初の穴と同じように低回転でゆっくり削り、決して貫通しないように注意します。

貫通したら・・・ホイールは終了です(笑)

まぁリムはかなり厚みがあるので、かなりテキトーにやらない限り大丈夫だと思いますが。

溝の深さは1mmもあれば十分です。


あとはセンターの穴をドリルの刃を少しづつ大きくしながら、最終的に11.5mmであけます。


最後に穴の表裏のエッジとバリをヤスリとかで削って穴あけ加工終了。

(←リューターにゴム砥石を付けてバリ取りしました)


コレをホイール4本に行い、ツインエアバルブ化準備完了!

見比べてもどっちが元の穴でどっちが新設した穴か分からない・・・かな?(笑)。


新品のエアバルブを取り付け、タイヤを組んだらエアを入れて洗剤水を掛けて洩れのチェック。

元々あいている穴の方は問題無いでしょうが、加工してあけた方はバリとかがあって洩れる可能性もあるので特に念入りにチェック。


※ツインエアバルブ加工を検討している方へ  (あまり居ないと思いますが(笑)

エアバルブ同士の距離はもっと近くした方が良いです
。(10cm位?自分のは20cm位))


基本的にタイヤの組付けはタイヤ屋さんにお願いする方が多いので問題無いかと思いますが、タイヤをホイールから脱着する時はビードがエアバルブに干渉しないようにエアバルブの位置を調整しながら組み付け、取り外しをするのですが、エアバルブの距離が離れていると
バルブとビードに触れないように作業出来る範囲が少なくなってしまうので、組む人がかなり気を付けないとエアバルブにビードが干渉し、エアバルブが破損してしまう可能性が高くなります。

実際、今回4本タイヤを組付けるのにうっかり2本エアバルブを折ってしまいました(笑)


だいぶ前置きが長くなりましたがここからやっと「TPMS」の取り付けです。

説明書には「盗難防止用ナット」と書いてありますが、まぁセンサーの緩み止めですね。

このナットを先にエアバルブにねじ込んでおきます。


続いてセンサー本体をエアバルブにねじ込みます。

ねじ込んでいる途中でセンサーでエアバルブを押し開くのでエアが少し洩れます。

工具は使わず手でしっかりと締め込みます。


センサーを締め込んだら付属の工具を使ってロックナットでセンサーを固定します。

←ではセンサーを押さえていませんが、センサーはしっかり押さえたままロックナットを締めます。

今回、同時にツインエアバルブにしたので、この作業はセンサーかエアバルブが駄目にならない限り、もう行う事はありませんが、バルブが一か所だとエアを補充する際に毎回この作業を行わなくてはならず、センサーのパッキンが傷んでエア洩れする可能性が高くなるのではないかと思われます。

なのでサーキットでの使用を想定している方は思い切ってツインエアバルブ化してしまうか、最初からツインエアバルブ装備のホイールを購入する事をお勧めします(笑)


追記
当方がこのTPMSを購入した時はエアバルブ一体型ホイール内蔵センサーは販売されていなかったようですが、現在は
本体とは「別売り」で一体型センサーが販売されています。
本体が4千円前後+一体型センサーが4個セットでこちらも4千円前後になるので、トータル8千円位になってしまいますが、これから購入するならこちらをお勧めします。


最後にセンサーとエアバルブの間からエア洩れが無いか点検します。

ホイール表側からだとかなり見難いので裏側から確認。

3本は問題ありませんでしたが、1本だけエア洩れがあり、何度締め直しても止まりませんでした。

どうもセンサーのゴムパッキンが不良のようです。

直ぐに販売元にその旨連絡をしたらエア洩れする箇所のセンサーを直ぐに送ってくれました。


さていよいよ起動してテストします。

まず車体にホイールを取り付け、いつも使っているエアゲージで4輪同じ空気圧に調整します。

とりあえず250kpaに調整しました。


早速TPMSの電源を入れますが、各輪のセンサーの電波を受信し、本体の画面に反映するまでは数分掛かります。

これは説明書によると「ペアリング」という動作で、切っていた電源をONにした際に毎回行われるそうです。

←電源を入れて2〜3分経過して受信が完了した画面表示。

圧力の単位はbar(バール)に設定しているので、全輪が2.7バールで揃っていることになります。
エアゲージより0.2バール高い数字ですが、これは自分のゲージが正解なのかこのTPMSが正解なのかは不明ですが、全部同じ数値なので、センサーごとのバラつきは無いようです。

ただ、タイヤ温度表示は左後ろだけ他の車輪より高い数値になっています。

実はこの左後ろのセンサーがエア漏れで取り換えてもらったセンサーで、温度センサーが他の3つと差が出てしまっているようです。

まぁこの辺は値段を考えれば仕方ないですかね。
エアを入れたり抜いたりしながらレスポンスをチェックしました。

その昔に販売されていた物とは比べ物にならないくらい進化していますね。


MR-Sに取り付け、TC2000で実際に走行してテストしてきました。

走行中の変化を動画に取れれば良かったのですが、TPMSの取付位置の関係で断念。

←走行直後、温間時にエアゲージでF1.5、R1.7に合わせた時の数値。

温間で一度エア調整すると、思ったよりその後の走行では変化は少ないですね。

今回はこの状態から1周全開アタックした最後の方でここから0.1〜0.2程度上昇する程度でした。

タイヤ温度の方は・・・全くあてになりません(笑)

走行後に放射温度計(これもアレですが)でタイヤ表面、ホイール本体(エアバルブ付近)を測って比べてみましたが、全く違う数値になりました。

ところで、ほんのちょっとだけ心配していた穴あけ加工したホイールは、サーキット走行をしても割れませんでした(笑)